北本自然観察公園(北本市)

最終更新日 2022.11.9 撮影日 2022.5.3&2015

北本自然観察公園は動物の宝庫

北本自然観察公園 園路
北本自然観察公園から北本市子供公園方面へ向う園路。下の案内図の標柱6を過ぎたあたり。

県営「北本自然観察公園」はJR北本駅から3kmほどに位置し、荒川河川敷に隣接する谷地形を活かした大自然公園です。

園内にある自然学習施設「埼玉県自然学習センター」と共に開設されたのが、平成4年(1992年)7月のことでした。

下に載せた園内MAPををじっくりと見ていただくとおわかり頂けると思いますが、総敷地面積25.2haのほぼ全部が雑木林や湿地帯や草原で、普通の公園にある芝生広場や遊具などは一切ありません。

元々多くの自然が残っている地域に隣接する荒川ビオトープと合わせて「北本自然観察公園」が造られ、保全されています。

開園から30年が経ち、守られた生態系の中でいろいろな動植物が繁殖して公園に根付いています。

こちらの公園では、「コジュケイ」「モズ」「ウグイス」「カワセミ」「オオヨシキリ」「ムクドリ」「フクロウ」「オオルリ」「キビタキ」など、約170種の鳥たちが確認できているそうです。かなり珍しい鳥もいるみたいですね。

初夏のころにはホトトギスの声が響いて最高に気持ちが良い。残念なことになかなか見ることは適いませんが。

また「タヌキ」「イタチ」「ハクビシン」などの野生動物に遭遇することもあるかも知れません。

特に「イタチ」は可能性が高そうです。公式サイトの日記を読むと、交通事故に遭って亡くなってしまったイタチもいるようです。

運良く動物に出遭ってもエサなど、絶対に与えないでください。

エサを与えられると自分でエサを見つけなくなってしまいますから。

北本自然観察公園 案内図

北本自然観察公園 園内案内図
公園の案内図。ちょっと変わった形をしていますね。中央部分が谷になっていて、その両サイドが小高い丘になっています。
谷の部分は池や湿地帯になっていて、葦が茂っています。
四角い赤に白抜きの数字が見えますが、これが目印の標柱。位置を確認するために必要です。

キツネが自然繁殖

北本自然観察公園 高尾の池
高尾の池。標柱4を過ぎたあたりから標柱13のあたりを望んでいます。初冬なのに緑が濃いですね。2015.12

それと、「キツネ」です。

「キツネ」は、2001年に繁殖が確認されました。公園の究極の目標が、「キツネ」が繁殖できる環境を保全することだそうなので、関係者の方々にとっては、たいへんな慶事だったことでしょう。

「キツネ」を見かけたら是非報告してほしいとのことです。

昔からこの地域には、キツネが繁殖していたそうですが、絶えて久しかったとのこと。

誰かが放したわけでもないでしょうし、自然発生するわけがありませんから、目撃情報が絶えて久しかったということでしょうか。

毎年、7月中旬くらいから8月中旬くらいまで見られる、天然のホタルも特別な意味がありそうです。

最もたくさん見られるのが7月下旬から8月上旬。ホタルは、水がきれいでないと繁殖できません。それと、以前「東武動物公園」の「ほたリウム」で聞いた話ですが、1000匹の幼虫ホタルで成虫になれるのは3匹程度なのだそうです。

天然のホタルが見られるのは、とてもすごいことなのです。

7月末から8月上旬に、夜の自然観察会が行われているので、参加すればホタルを見ることができます。事前に申し込みが必要ですが。

しかし、公園内は夜でも開放されているので、自分たちだけでホタルを見に行くことも可能です。

そのときは、自然観察センターが19:30まで開館しているので危険動物等の情報収集をして、必ずグループで行動して欲しいそうです。

「植物園」も同じ意味で書き入れました。どのくらいの植物があるのかわかりませんが、鬱蒼とした森の中にはありとあらゆる植物が生い茂っています。

地図と標柱を目印に公園を歩こう

北本自然観察公園 鬱蒼とした園路
標柱18のあたり。埼玉県自然学習センターから散策をはじめるといきなりこんな風景です。

駐車場入口の信号が公園への入口です。

信号を渡ると薄赤いレンガ色の「ふれあい橋」がり、橋を渡ると正面左手に「埼玉県自然学習センター」が見えてきます。

橋のたもとの右手に案内看板があり、右にも左にも歩道が続いています。「ふれあい橋」から気持ち良さそうな木道が見えたりするので思わず行ってみたくなります。

しかし、ここはできれば我慢して「埼玉県自然学習センター」でパンフレットを入手ししてください。

自然科学センターで配布しているパンフの案内図(公園地図)がとても重要です。案内図をよく見ると四角く囲まれた1から20までの数字が入っているのを確認できるはずです。

この数字は上(横)の写真のように歩道脇に立っている標柱の番号で、道行く人々をナビゲートしてくれます。もちろん、どこにでも立っているわけではなくて、歩道の分岐点や休憩所などのスポットごとに立てられています。

案内図を持たないで散策に向かってしまうと迷子になります。決して大げさでなく。迷子にならなくても自分たちがどこにいるのは全然わからないので楽しさ半減です。

子どもたちが小さいころは、ひとりに1枚案内図を持って散策に向かったものでした。

桜の名所 城ヶ谷堤

北本自然観察公園 城ヶ谷堤の桜
2015年の桜。桜堤を下から望む。土手になっていて右上が道路です。土手の両側が桜並木。2015.4

しばらく歩くと、北本市民の間で「桜堤」や「桜土手」の名で親しまれている城ヶ谷堤(じょうがやづつみ)にあたります。

平仮名の「へ」のような形をした公園の角部分が城ヶ谷堤です。

堤というくらいで、こちらは実はかなり高い堤防なのです。自然観察公園の谷部分の池・湿地帯から流れ出た水がここから荒川方面に注いでいます。

堤防は谷部分だけにかかっているので、距離はそんなに長くありません。両サイドは小高い丘なので。荒川から谷に逆流する水の氾濫を食い止めているのでしょうね。

「桜土手」というくらいですから、こちらはお花見の名所です。

現在、約60本の桜(ソメイヨシノ)があり、毎年4月上旬には花のトンネルができあがります。土手に桜を植えるのは、桜が根を張って土手を強くするからなのでしょうね。

2009年4月に撮影した桜(剪定前) 

剪定された後2015年の桜

以前の記事では「60本と侮ってはいけません。1本1本の枝ぶりが尋常じゃないのです。しかも短い区間に、ぎっしりと両側に立っているので、満開の美しさはたいへんなものです。」と書いていたのですが、2015年に大きく張り出した枝が短く剪定されてしまいました。

長持ちさせるためですので仕方ないですね。古くからの桜の名所には刻々とソメイヨシノの寿命が近づいています。

桜の時期になると城ヶ谷堤の荒川側に屋台が並びます。駐車場もそちらにあります。

広い公園は自転車OK

北本自然観察公園 湿地帯の木道
標柱3付近から2付近にはご覧のような木道がかけられています。カメラマンがいっぱい。

北本自然観察公園は大きく3つのエリアに分けられるのだそうです。

ひとつが、池や湿地帯のエリア、もうひとつが雑木林などの里山エリア、そして草原のエリア。草原のエリアは自然学習センターの北側(標柱15・16の北側)です。

園内には四阿が1ヶ所と、休憩場所(ベンチがあるだけですが)が数ヶ所あります。お隣には小さい子向けの「北本市子供公園」があり、老若男女誰でも楽しめる公園エリアを形成しています。

ふたつの公園をくまなく散歩・散策するのは、たいへんです。初めて訪問したときウチの子どもは小学2年だったのですが帰宅して、早々に眠ってしまいました。

かなり歩いて、その上子供公園で遊びまくったので疲れきったようです。

疲れたのは子どもだけではありません。それ以上に運動不足の親たちが参りました。

それでも、これだけの自然に触れてオゾンをたっぷりと浴びて、本当に気持ちの良い時間を過ごすことができました。言葉にできないくらい満足しました。

園内を自転車で走っている方を見かけました。

まずいんじゃないの?と思って学習センターの人に伺ったら、自転車に限っては許可しているのだそうです。バイクはダメ。

でも、自転車などと弱気なことを言わず、是非歩きましょう!

決まりごともいろいろあります

こういった趣旨の自然公園なので、禁止事項がいろいろあります。

「絶対に自分で飼ったり栽培していた動植物は持ち込まない。また、持ち帰らないこと」

「動物にエサをあげないこと」

「タバコ等の火気は厳禁」

「ごみは持ち帰ること」

そして、最後に、こちらの公園は現在でも整備中だそうです。

至るところに「私有地なので立ち入り禁止」という立て札が立っています。そういった「私有地」も含めて、歩道と草原以外のところには立ち入ってはいけません。動植物を守り、生態系を守るためとのこと。

ぼくみたいな山育ちには窮屈な話ですが、そういうモノなので、遵守しましょう。

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