トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園(飯能市)
ムーミンのいないムーミン谷
「子ども劇場」の前から見下ろした「きのこの家」。奥の方に「水あび小屋」があります。左り手に「カフェプイスト」。 |
2017年6月1日、「あけぼの子どもの森公園」は正式に名称を「トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園」と改めました。ムーミン公式サイトが2017年6月6日付けで報じています。 ムーミン公式サイト トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園
埼玉県飯能市にある「トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園」は、フィンランドの作家トーベ・ヤンソンの「ムーミン童話」の世界をモチーフにした公園として、平成9年(1997年)7月に誕生しました。
ムーミンの世界観を表した公園として、地元では「ムーミン谷公園」または「ムーミン公園」として親しまれています。
しかし、公園内にムーミンの姿を見ることはできません。あくまでもムーミンと原作者であるトーベ・ヤンソンさんにインスパイアされた公園ということです。
広さは約7.6ha。公園全体が山の斜面に作られていて、ムーミン谷というよりもムーミン山と呼んだ方がぴったりくる感じです。右の写真は公園のメイン施設「きのこの家」はエリンギを2本まとめたような形をしています。
いくつもの建物を結ぶ遊歩道が整備されているので、起伏に富んだ園路を歩きながら自然に触れることができます。不思議な形をした橋や山の奥に分け入ると滝も見ることができます。
お弁当を広げられるのは、「子ども劇場」の上部にあるイベント広場でしょうか。公園唯一の平地で、それほど広くはありませんが、屋根付きの休憩施設と広場になっています。
遊具等はありません。唯一、「樹上の家」というツリーハウスがアスレチックになっています。
公園設立の背景にフィンランドの思想
見晴らし橋と奥に見えているのがデッキウォークです。 |
園内に普通の公園で見かけるような遊具はひとつもないのに、あちこちに目を輝かせて遊ぶ子供たちが溢れています。
園内に点在する施設がどれも好奇心を刺激し、楽しませる仕掛けいっぱいだからなのですが、坂道が多く、施設内も階段が多いので子供たちを追いかける大人も良い運動になります。
以下、ムーミン公式サイトの受け売りですが、フィンランドには「自然享受権」という権利を定めた法律があるそうです。 森林は所有権にかかわらずみんなのものという思想が根幹にあり、誰でもいつでも好きなときに森に分け入って、そこに自生している植物ならば採取しても良いという法律なのだそうです。
当公園の設立主旨にはそんなフィンランド人が持つ自然への意識が大きく影響しています。
実際に週末になると野山へ分け入って木の実やキノコを採取して楽しむフィンランド人家族のように、こちらへ遊びに来たご家族には、公園の野山や小川に分け入って思い切り遊んでほしい。
トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園では、公園すべてが遊具といっても言い過ぎではないかもしれません。
そんな公園には、子どもたちが自分から考えて遊べるような仕掛けがいっぱいあります。
特徴的な4つの建物と橋
紅葉。「水あび小屋」と奥に「カフェプイスト」。手前の池に鏡のように映る建物と紅葉。みんなが撮影したいカット。 |
「あけぼの子どもの森」公園にある建物は、前述の「きのこの家」のほかに、「水あび小屋」「子ども劇場」「森の家」の4つに2018年6月オープンの「カフェ プイスト」が加わって5つになりました。
「きのこの家」は屋根に本物の植物が生えたメインの建物のひとつです。これがムーミンの住む家というイメージでしょうか。
実際にはもうちょっとペンシル型だったと思いますが、こちらの方がしっくりくるくらい世界が再現されています。
内部は幾層にも分かれて複雑怪奇です。ぼくらが訪れた日も子どもたちが走り回って大喜びでした。
秘密基地的なワクワク感がありますね。暖炉があり、内壁に沿った通路を頂上まで登ることができます。
「子ども劇場」は多目的ホール、「森の家」はトーベ・ヤンソンの資料館で2階には図書室もあります。
「水あび小屋」はムーミン童話に出てくる本物の「水あび小屋」そっくりですね。隣には、スナフキンが釣り糸を垂れていそうな小さな池(わんぱく池)があります。
そのほか、きのこの家の裏手を流れる川を遡ると見える「見晴らし橋」、「見晴らし橋」から滝を見に行ける「デッキウォーク」、「見晴らし橋」から遊歩道を降りると現れる「樹上の家(ツリーハウスみたいなアスレチックみたいな?)」などがありす。
とても良い施設ですが、夏場は暑くてたいへんそうです。初めて行ったとき建物内部がものすごく暑くて汗だくになりました。
特に暑かったのが「きのこの家」。次いで「子ども劇場」です。
夏場は水分補給をしっかりとしてくださいね。
2018年6月待望のカフェがオープン
メタセコイアが紅葉した時期。公園の世界観そのままの建物で驚いてしまいます。右に見えているのが水あび小屋。 |
2018年6月1日、待望のカフェがオープンしました。北欧をイメージしたカフェだそうで、店名は「プイスト」。「プイスト」とは、フィンランド語で「公園」を意味するのだそうです。
「公園へ行こう!」をご覧いただいている方ならご存じと思いますが、ぼくは常々公園にある飲食店は酷すぎると思っていました。
なんで、その飲食店を目当てに公園を訪問するくらいの気合いの入った飲食店を作らないのか不思議で仕方なかったのです。
素敵な公園に素敵な飲食店ができる。そうしてお互いに高め合って、公園のステータスも公園内の飲食店のステータスもあがっていく。そんな飲食店があっても良いのにと、ずっと思っていたのでした。
2010年代に入ってぼくが思い描くようなことを自治体も考えるようになったのか、「つつじが岡公園」の「SUGAR HILL CAFE」、「久喜菖蒲公園」の「BEACON COFFEE AND BAKES」みたいな素敵な飲食店がオープンしています。
もちろん、当店もそんなお店のひとつ。…というか最右翼かも知れません。
ぼくが訪問した日、三世代親子連れの若いお母さんが「ここに来たかったのよ」と祖父母と話しながらやって来られたのが印象的でした。
カフェ店内。ウッディな内観そのままに普通の椅子とテーブルのセットになっています。 |
「カフェプイスト」ができて、公園のステータスがまたひとつ上がったかもしれません。そんな素敵なお店でした。
やっかいなのはあの椅子だけですねぇ〜〜(笑)。2021年11月に確認したところ、椅子は座りやすい普通のに変わっていました。
最後に、2021年11月、現状の確認とメタセコイアの紅葉を撮影に行った感想をひとこと記しておきます。
2018年11月に「ムーミンバレーパーク メッツァビレッジ」がオープンして、その相乗効果なのかこちらの公園も飛躍的に来場者が増えたようです。
特に色づいたメタセコイアと水あび小屋が手前の池に映る幻想的な画像がSNS等で多く拡散されるようになって、秋はものすごいことになっているみたいです。
ぼくが上の写真を撮ったのは祭日明けの平日11月24日だったのですが、午前11時前からかなりのお客さんがいらっしゃいました。
週末はどうなっているのか想像もつきません。駐車場は市民体育館のがあるので問題ありませんが。
トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園 案内図
トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園 案内図 |
トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園 利用案内
「あけぼの子どもの森」公園入口。この坂を登ると公園です。左手に市民体育館。 |
- 開園時間
- 9:00〜17:00(入口の門が閉まります)
- 休園日
- 月曜日(月曜日が祝日の場合はその翌平日)、年末年始(12月28日〜1月4日)
- 入園料
- 無料
- 駐車場
- 市民体育館・市民球場・ホッケー場と共用 約250台
- 駐車料金
- 無料
アクセス
- 電車
- 西武池袋線 元加治駅下車 徒歩約20分
- クルマ
- 圏央道狭山日高インターより 約20分
- 圏央道入間インターより 約20分
- 関越自動車道川越インターより 約50分
- 圏央道入間インターより 約20分
- バス
- 最寄りのバス停は「円照寺入口」ですが、公園から徒歩約15分も離れています。その上、「仏子駅」(ぶし01「西武バス」)からのバスは一日に3本しかないため、バス便は現実的ではありません。